あしながおじさんの育児休業ブログ

とある平凡なサラリーマン新米パパ(東京都調布市在住)の育児休業体験の記録です。これから育休を取ろうと思っている男性はもちろん、奥さんの参考になれば嬉しいです。

育休取得に向けた社内調整の話

 

こんばんわ。

 

このブログもとうとう3,000アクセスを頂きました。そして、私の育休も残り2ヶ月を切り、そろそろ着地点も見ながらやっていく時期にさしかかりました。寂しいような、嬉しいような。複雑な気持ちが去来する日々です。

 

さて、最初のエントリで私が何故育休を取得しようと思ったかを紹介しました。

 

 

ashinaga.hatenablog.com

ashinaga.hatenablog.com

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今更ですが、私がどうやって社内で立ち振る舞って育休を取得出来たかを、私の事例でご紹介します。

 

まず、『育休を取得しよう』と決断した時点でほぼ成功です。何故なら、育休は法的に保障された権利なので、会社が本人の希望を拒否できないからです。会社の規程が無くても取れます。拒否されたり、不利な待遇を受けた場合、明確な法律違反なので、労働局に行けば行政処分の対象となると思います。

 

しかしです。

 

よし!!じゃあ会社と徹底抗戦だ!!

 

なんて武闘派サラリーマンはイマドキ少ないんじゃないでしょうか笑 そんなエネルギーを持ってる人なら、雇われの身分は勿体ないです。

 

自称、平凡サラリーマンの私も、出来るだけ波風を立てず、周囲にも嫌われず、うまーく軟着陸させたいタイプです。

 

他方で、上司から『育休いつ取るの?』と声をかけて貰うのを待っていては前に進みません*1ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん*2の強い気持ちで、自分から動くのが良いでしょう。

 

そんな私からご紹介出来る育休取得までの戦略的社内調整のポイントは以下の3点プラス補足1点です。

 

  1. 『早く帰る人』のイメージを早期に作る
  2. 相談する相手と順番を戦略的に決める
  3. 早めの意思伝達と計画的な業務引き継ぎ
  4. 会社のメリットを伝えてみる

 

こうした社内調整を通して、会社や仕事への影響を軽減できるわけですから、実は『会社との交渉』だけでなく、育休を取得する男性個人の『なんか申し訳ないな、、』という心情も整理されていくと私は感じています。

 

『早く帰る人のイメージ』を早めに作る

 

一般的に妻の妊娠を会社に報告したるするのは、安定期以降になると思います。それ以前から、育休の為の布石を打っておきます。

 

それが、『早く帰る人』のイメージを周囲に持ってもらうことです。これは、実際に育休を取る際に、『えっ!?それはズルい、困る!』とならないように、『まぁいつも帰りの早いあの人なら育休取りそうだよね』と周囲に思ってもらえるような環境作りです。

 

いつも残業、頼まれごとは断らない、仕事大好きな雰囲気を出していれば、誰だってあなたの事を頼りにするし、時には都合よく使われます。そんな人が急にいなくなると、実際に困る人も出てしまいます。ホントにその仕事は貴方のすべき仕事か見直してみてはどうでしょう。

 

仕事をサボれ、と言うわけでは無いのですが、目標は円満に育休を取得する事です。これまで明日できる事を今日やっていたのなら、明日に回すとか、仕事を安請け合いしたり、抱え込みすぎないとか、完璧主義をやめるとか、やれる事をやって、せめて週一回とか二回は定時で帰る工夫をしてみてはどうでしょうか。

 

これは育休後の仕事と育児の両立においても重要になります。育休はどんなに長くとっても一年二ヶ月が法定期間です。たった一年で子どもは大人にはなりませんし、上手に働く知恵はいずれにしても必要です。

 

周囲には『家庭の都合で』と言っておけばいいでしょう。多くの場合、家庭の話を詮索されたりはしないはずです。

 

どーしても早く帰れない時は、ついていい軽い嘘を使うのも手かと思います。『妻の体調が思わしく無いので、仕事を調整して欲しい』(妊娠中においては嘘では無い)とか、昭和のオジさんが上司なら、『最近、嫁さんの機嫌が悪くて、飲み会には参加出来ない』とか言えばなんとかなるかもしれません。バチは当たらないと思いますよ。

 

相談する相手と順序は大事

 

会社組織に長くいる人は、この点は抜かりないと思いますが、自分の意思を通す時に、真正面から突破する正攻法が近道とは限りません。

 

育休取得をバックアップしてくれて、ある程度組織に影響力を持つ人から順に当たるのが良いでしょう。

 

私の場合、人事課長→上司→仕事を引き継ぐ複数名と部署にいるインフルエンサーの順で話をしていきました。

 

たまたま人事課長は、ワーキングマザーで、仕事も家庭も両立している事にプライドのある人でした。そうしたことから、社内で働き方改革を積極的に進めている人というのを私は知っていました。加えて、人事課長という立場です。組織において、人事を味方につけると言うのは大きな意味を持ちます。影響力の面でも申し分ありません。『上司に断られたりしないですよね?どう話をすれば良いですか?』と、『会社として断れない』保険を掛けておきました。

 

その後、部長には『人事課とも相談したんですけど』と枕言葉を置いて話をしました。

 

早めの意思伝達と計画的な業務引き継ぎ

 

この時点で、育休開始の半年前となり、妻の妊娠を告げました。育休を取る意思表明は、出来るだけ早い方がマネジメントの部分で助かると思います。ズルズル先延ばししない方が良いでしょう。

 

そして、業務の調整を依頼すると共に、自分としては今後はこんなスケジュールで仕事をしたいとか、仕事を引き継いでいきたいと、具体的なタイムテーブルを自作して持って行きました。こうする事で、このスケジュールを元に、この後も定期的に上司と仕事のスケジュールを調整したり、相談することが出来ました。

 

このアプローチの仕方は良いやり方だと思います。自分の仕事を自分でコントロールする事が可能になりますし、何より仕事に責任感がある事を示せます。子育てと同じで、『アトヨロ!』では、うまくいくものもいきません。

 

最後に、実際に仕事を引き継いでいく複数のスタッフに、『実は、、』と話をして行きました。2ヶ月程度前だったと思います。私としても、スムーズに引き継いでもらえるように、出来るだけ丁寧に対応した部分です。

 

それ以外でも、育休取得を部署全体で前向きに捉えてもらえるよう、インフルエンサーになる様な人には個別に話をして、個人的な想いも併せて理解をしてもらいました。

 

日本の組織って、実に人間臭くて、『あの人なら良いけど、アイツがやるとムカつく』的な話はつきものです。こういうレッテルは育休取得には脅威になります。自分が会社に居ない間に自分への評価が悪い方に独り歩きする可能性もありますからね。そうならない努力はして損は無いと思います。

 

それでもなお、内心は『あの人ばっかりズルい』とか、『あの人は社内での立ち回りがうまいから』とか思ってる人はいたでしょう。それは、もう仕方ありません。みんなに理解してもらえるような事では無いのも事実でしょう。一言、『ご迷惑をお掛けして申し訳ない』とお伝えしておきましょう。

 

会社のメリットを伝えてみる

 

私の場合、人事も上司も育休取得に対して全面的に支援をしてくれました。『一年取れば?』と言って頂いた位です。幸い、私は環境に恵まれていたし、中堅社員としてある程度のバーゲニングパワー*3も持ち合わせていたので、上手く立ち回れさえすれば良かったのです。

 

中には、前例も無いし、言い出しにくい会社もあると思います。その際に、会社へのメリットを説明出来ると、もしかしたら前に進めるかもしれません。何かのヒントになればと思うので、少し会社のメリットを考えてみたいと思います。

 

イクメン推進活動などを行なっている厚生労働省や団体でよく言われるメリットや取り組みの事例は、このリンクを参考にして下さい。

 

ダウンロードコーナー|イクメンライブラリー|育てる男が、家族を変える。社会が動く。イクメンプロジェクト

 

こうした啓蒙活動は非常に大切ですが、正直、肌感覚としてピンと来ません。確かに社会貢献として女性の復職を社会的に支援する一面はあるし、社員のマネジメント力や組織への帰属意識が増したりはするかも知れません。

 

が、私は『そんなもん知るか』と思ってます(笑)

 

私はただ、我が子と触れ合う時間を持ちたかっただけで、極端に言えば、私の妻が職場復帰するかどうかは分かりませんし、私はマネジメント力向上の為に休業してる訳じゃありません。

 

会社にしてみても、同じだと思います。話は分かるけど、うちの会社の今期の業績に関係ある?って話です。もうちょっと分かりやすいメリットがあると良いですよね。

 

そこで、ひとつ参考になるかもしれないのが、『くるみん認定』です。

 

これは、厚生労働省がやっている認定で、要は子育て支援に熱心な企業ですよとお墨付きを与えるものです。これに認定されると、社名が公表されたり、公共調達で加点があったり、税制面の優遇が受けられます。

 

社名の公表は、B to Cの会社であれば、企業イメージのアップに繋がるし、人材採用でも有利に働くでしょう。

特に人材採用でのメリットは大きいかなと。今は労働市場は売り手ですし、特に新卒の採用では『働きやすさ』は重要になってます。私も採用説明会に出て質問を受けるのですが、私の時はタブーだった休暇や残業の話もフツーに学生から聞かれます

 

公共調達での加点という面はビジネスに繋がるポイントです。公共事業だけでなく、今は企業の社会的責任はサプライチェーン全てにある時代です。某アパラルブランドの下請け企業が法外な賃金で外国人を働かせていて炎上した話は記憶に新しいかと。もしかすると、認定があることは大企業との取引において売りになるかもしれません。

 

税制優遇は言うまでもなくメリットになります。金銭的なメリットは、この制度のほかにも中小企業向けの助成金なんかも用意されています。

 

実は私の会社も、この『くるみん認定』の取得を目指していて、男性の育休取得者が必要だったと言う事情も、私は利用させてもらいました。

 

これが必ずしもどの企業でも通用すると言う訳では無いと思いますが、ひとつの知識として持っておくと良いと思います。

 

まず自分がどうしたいかを考える

 

最後に、繰り返しになりますが、まず本人が育休を取ろうと決める事が最も重要です。育休は法定の制度ですから、社内の事情から考えるのでは無くて、まず貴方がどうしたいかを考えてみてください。もしかすると、『取りにくい雰囲気』の根本は貴方自身にあるかもしれません。

 

また、仕事と家庭の両立という観点に立てば、早めに帰るとか、仕事を調整出来るように社内で立ち回るというのは、育休に限らない話です。育休を取る、取らないに関わらず、一度仕事の棚卸をしてみることをお勧めします。(私への自戒もこめて。復帰後が心配、、。)

 

では、1人でも多くのパパ達が子育てにかかわれますように。

 

 

 

 

*1:最近のイクボスブームでは上司から声をかけましょうと言われていますが、いい大人が自分の家族の事すら自分できめられず、上司に指示されないと出来ない現状は、やっぱりおかしいと思う。。

*2:某ロボットアニメ、エウレカセ◯ンで、主人公の父が言った名言。

*3:交渉力のこと。私のいる会社は中小企業で出世競争的なことも少ないし、中堅社員に辞められると困るタイプの組織です。育休取得で自分に不利になる状況にはならないと、私は踏んでいました。