あしながおじさんの育児休業ブログ

とある平凡なサラリーマン新米パパ(東京都調布市在住)の育児休業体験の記録です。これから育休を取ろうと思っている男性はもちろん、奥さんの参考になれば嬉しいです。

育児休業をなぜ取得しようと思ったか(後編)

育児休業を取得した理由〜後編〜

 

息子も生後50日を超えて、3時間程度まとまって寝てくれるようになり、育児にもリズムが出て幾分ペースがつかめるようになってきました。目を合わせてくれるようになったり、ウー、アーと話すようになったりで、段々と楽しみも増えてきた気がします。

 

さて、なぜ私が育児休業の取得を考えたのか、前回に引き続いて紹介していきたいと思います。

 

『どうせ育休なんて取れないし』と言ったらそこで試合終了です。取れるかどうかより、まずは自分が取りたいかどうか、取る方が良いか悪いか、考えてみるだけやってみましょう。(育休を取得しないという判断になったとしても、役に立つはずです。)

 

前回、私は育児休業取得を検討するにあたって4つの要素を挙げ、そのうち3つを紹介しました。

 

ashinaga.hatenablog.com

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判断要素

  • 個人的要素
  • サラリーマン的要素(事情)
  • 金銭的要素
  • 家庭(夫婦)の要素

今回は残りの1つを紹介していきます。

 

 

 

家庭(夫婦)の要素


さて、金銭や仕事との折り合いというリアルな話以上に大切なのが、家庭(夫婦)の要素です。なぜなら、育休はまさに家庭(夫婦)のあり方をどうしたいか、という話で仕事等の要素は無視できないとはいえ外部要因でしかないからです。

 

まず、夫婦として、家庭人として頭に浮かんだのは、またもや男のバカな発想でした。

 

『妻に良い夫として認められたい(=モテたい)』

 

前回も書きましたが、男のモチベーションは15歳から変わらず、『モテたい』という欲求です。かっこよく言い直せば、承認欲求です。

 

じゃあ誰にモテたいか、というと、職場の若い女性にうっかり鼻を伸ばしたとしても、たとえ道ですれ違うナイスバディの女性につい目がいったとしても、本当は奥さんにモテたいと思っていると思うのです。(たぶん。)

 

家庭における父親、夫の立場は一般的に見て、ものすごーく低いと思います。(勇気のある方は検索エンジンで『旦那』と入力してみてください。)

みんな、毎日満員電車に乗り、頭を下げ、汗をかきながら命を削って働いているのにです。その理由は結構単純で、活躍をお披露目できる場が、”日常生活”にないからだと思います。

 

そう思うと、育児休業は、毎日家で子どもや家事と向き合うわけですから、数少ない父親・夫として”日常生活”で頼られる場面でもあります。

『モテたい』私としては、格好の機会ということになります。妻に信頼される旦那への一歩です。

 

※ちなみに、私の妻は育休取得を私にお願いしたりはしませんでした。半年とると言ったら、ビミョーな顔をされましたね笑

 

もう一つ、金銭的要因にも関連しますが、こう考えました。

 

『妻の職場復帰の可能性を残しておきたい』

 

妻は妊娠をきっかけに、仕事を退職せざるを得なくなりました。

私は妻に『社会復帰』を強制するつもりはないのですが、その可能性を残したいと思ったのです。

 

一つにはもちろん収入面のことがあります。ダブルインカムの威力というのは現実的にバカになりません。また、妻は前職でも、その前の職でも高い評価をもらっていたようで、同じ『サラリーマン』として私は彼女のキャリアが閉ざされるのは、勿体無いと思っています。

 

それよりも大事なことは、育児から逃れる逃げ道としての『社会復帰』の道を確保しておくことでした。働く先輩ママに聞くと、子育てより仕事の方が楽、とか、仕事がある方が切り替えができて精神衛生が保たれる、といった意見が良く聞かれます。

これは、人の感じ方にもよるので、家で子どもと一緒にいたい人も当然いるとは思いますが、私が実際に、子どもが生まれて1ヶ月、24時間赤ちゃんと向き合ってみると、心身ともに想像以上にしんどいことを実感しています。

 

『私、もう無理!』と思っても、『旦那には安心して任せられない』とか『協力してもらえない』と思われる、つまり旦那の存在が障壁になって逃げられない、となっては最早、パートナーとは呼べないのではないでしょうか。

 

私は『仕事』という逃げ場が育児休業明けに手に入ります。でも育児はまだ何年も続きます。もちろん、仕事以外に育児の逃げ場はあります。仕事だけというわけではないでしょう。

ただ、妻から逃げ道を奪わない、その選択肢を1つでも多く持っておくために、私は自分自信が育児に自信を持ちたかったのです。

 

『過酷な妊娠・出産を終えた妻を支えるという決意を示すのに明快な選択』

 

妊娠・出産が終わった後の奥さんは、簡単に言えば交通事故にあって全治数カ月と同じような状態です。その上、新生児期には母子ともにリスクがまだあります。

育児休業を取得する、しないに関わらずサポートが必要です。

 

これは無茶苦茶単純なことですよね。誰しも、夫婦として支え合うと結婚式の時に誓ったはずです。別に休業までしなくても、時短や帰宅後にしっかりサポートすることでも成り立つことも多いと思います。

それでも、私は休業にこだわりたかったのです。

 

ちょっと話が逸れますが、男性(社会)の育児への理解不足という事が良く言われていますが、私は問題の本質は、育児より手前の、妊娠(場合によっては妊活)・出産からだと感じています。(これもまた別の機会に書きたいと思います。)

 

私は妊娠は簡単にできると思っていたし、出産も『誰しもが』乗り越えられるからきっと大丈夫、と大して考えもせず思い込んでいました。

第一、苦しんでいる妊婦さんは仕事場にも通勤途中にも当然いないわけですから、街で出会うことはありません。出産8週前まで普通に働いている人や、元気に電車に乗っている、『超スムーズ』な妊婦さんしか目にしていないのですから、勘違いもしてしまいます。

また、女性の体に起こる変化とか妊娠の仕組みも理解をしていませんでした。

笑えない笑い話ですが、性の知識といえば、保健の授業でならった知識2割、後の8割は青春時代にお世話になったR18コンテンツから得た偏った情報という極めて不誠実な状態です。(他の男性も似たようなものではないでしょうか。。ですよね??)

 

冗談はさておき、もちろん、何のトラブルもなく、スムーズに出産までたどり着ける方もいらっしゃると思います。ですが、多かれ少なかれ、妊婦さんは妊娠・出産に際して命の瀬戸際を縫うようにギリギリのところを、身体的な辛さだけでなく、精神的に理屈ではどうにもならない不安と恐怖とも戦っています。

 

私はその戦いを妻一人に(意図せず、悪気なく)押し付けたことがありました。

その事を猛省した私は、『言葉』だけでなく、できれば具体的な『行動』で妻を支えたいと思ったのです。

 

育児休業を取る』ということは、妻を支えたいという決意を示すのに、言葉より明快でわかり易いメッセージだと私には思えました。(そうでもしないと、私はダラシない人間ですから、育児から逃げてしまう気もしました。)

 

また、綺麗事だけでない『最もらしい理由』を明確にするために、少し打算的な話をしてみましょう。

現在、男性の育児休業取得率は僅か3%で平均取得期間も5日以下であるという世間の現状は、育児休業を長期間取得する男性にとって、自動的にプレミアムが付いて来るある意味『オイシイ』状況とも捉えられます。つまり、『なかなか取れない育児休業を半年も取る』ほどの決意があると示すことができるのです。

いわば、育児休業は今が取りどき』と言えるでしょう。

あと10年して育児休業取得が当たり前になった時代と、男性育休が希少である今とでは育休を取得することで旦那が得られる効用(家庭内での地位向上、晩御飯の一品増加、あるいはお小遣いの増額などなど)は確実に高いと言えるでしょう。*1

  

ここまで来て、私は『育休とるしかないでしょ』とほぼ意思を固めましたが、私としたことが『育休を取ることで家庭内に起きるリスク』を想定していませんでした。恐ろしいことに気がついたのです。

 

『育休 旦那 と検索すると、次の想定ワードは ”邪魔”』

 

・・・。

 

そう、男性の育休取得は無条件に良いことのように認識され、世間で推奨されていますが、育休取得によって産後クライシスを加速させる可能性すらあるのです。

勇気のある男性諸氏は、google先生『旦那 育休 邪魔』と聞いてみてください。『邪魔』『使えない』ポンコツと変えて検索すると恐怖感が倍増します。

 

育休を半年取ったにもかかわらず、妻に邪魔と思われ続ける日々を想像してください。

 

はい、地獄ですね。

 

実は育児休業取得にあたって、実の母と叔母に反対されたんです。

その時の名言がコチラ。

 

『旦那が家にいること自体がストレスってこと、気がついてる?

 

なんという名言。『育休=超cool』と思い込んでいた私には目からウロコでした。

 

さて、困りました。

育休を取得しても、しなくても妻にとって邪魔にしかならない可能性があるのです。どちらを選択すべきか、分からなくなってしまいました。

 

どっちにしろ、『邪魔』なのであれば、消えるしかない、、よし、これからも残業と飲み会で遅く家に帰ろう!!なんてバカな話はありません。

 

逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメです。

 

ここで、育児中の家庭を会社、自分(旦那)を新入社員と置き換えてみましょう。

 

育児も会社と同じで『役立たずは邪魔』なのです。邪魔、と言われることにも納得です。

そしてあなたは、育児も家事も不器用な新入社員。そう、あなたは、いてもいなくても価値ゼロ(あるいはマイナス)の状態なのです。そこで振り返ってみてください。あなたが新入社員だった時、どう対応しましたか?

 

そう、誠実にできないことを出来るように努力したはずです。であれば、旦那は素直に出来ないことを自覚し、誠実に出来るように努力する、それ以外にやり方はないはずです。

 

育児休業を取得することの最大のメリットは、育児に専念できる『時間』が圧倒的に多いことです。

休業しない場合、おそらく家事や育児に充当できる時間は、どんなに多く見積もっても、2〜3時間でしょう。この僅かな時間で効率的に家事・育児をこなすことが求められます。もし、家事・育児に自信がない場合は修行が必要です。そうなった時、この時間であなたは対応できるでしょうか。

 

私には自信がなかった。だから、『時間』をしっかり確保して、自分にできることを増やしていきたいと思ったのです。

 

もしかしたら、『邪魔』と思われるかもしれない。

でも『時間』がある分、自分次第でいくらでも挽回できるチャンスがある『休業』を選択しようと考えたのです。

 

以上が、休業にこだわった理由でした。

 

これらの初心を貫徹できているか、育休取得から一月経って振り返ると、反省する事もありますね、、(笑)

 

次回は少し違い話題も挟みながら、この4要素もまとめてみたいと思います。

 

 

 

*1:※ここで注意して欲しいのは、半年も『取ってくれる』と感謝されると勘違いしないことです。現時点では単なる決意表明に過ぎず、期待される効用を得られるかどうかは、実際に育休が始まってからの、妻の会社より厳格なパフォーマンス評価であることをお忘れなく。何よりも、育休は究極的には自分のために取得するという考え方でないと上手くいかないと思います。感謝されたら儲けもの、位が丁度いいと思います。