あしながおじさんの育児休業ブログ

とある平凡なサラリーマン新米パパ(東京都調布市在住)の育児休業体験の記録です。これから育休を取ろうと思っている男性はもちろん、奥さんの参考になれば嬉しいです。

おっぱいの悲劇

 

おっぱいの悲劇

 

『この世には2つの悲劇しかない。おっぱいの出ない悲劇と、出る悲劇だ。』*1

 

こんにちわ。

このブログもお陰様で1,000アクセス頂きました。ありがとうございます。

 

さて、今回は少し育児っぽい話で、男性にとって永遠の憧れであり、畏敬の念を抱かざるを得ない存在であり続ける『おっぱい』について、存分に語りたいと思います。

 

男子におっぱいが無い悲劇

 

おっぱいが無いので家事休業はじめます

育児休業を取得後、やる気満々の私は主に炊事・洗濯等の家事全般と沐浴、オムツ替え(特にうんち)、夜の寝かしつけを担当しています。 

 

しかし、実際に生活してみると、『育児』という観点で自分が役に立っていない気持ちになってきました。授乳が育児に占める割合は相当高かったからです。その為、1日の殆ど、『育児』ではなく、『家事』をやることになります。

 

新生児期は何とかして出産後の妻を休ませようとするのですが、『授乳』という大きな負担は変わってあげようが無いのです。特に、妻は順調に母乳の分泌量が増えていったため、期せずして『完全母乳(完母)』となり、ミルクの出番がなかったのもあります。(ミルクにすればいいじゃん、と単純に思うかもしれませんが、母乳が出るとそうもいかないのです。理由は後述。)

 

男性にとって、授乳=幸せの時間というイメージしかないと思います。負担と言っても、正直あんまり想像がつかないのではないでしょうか。

おっぱいの負担は心身ともに色々あるのですが、ここでは『時間』というポイントだけで見てみましょう。

 

授乳は、一般的に左右10分づつ、合計20分が標準的な時間と言われています。

これを例えば2時間おきに授乳するとすると、20分×12回=240分(4時間)となります。これだけ考えてもかなりの負担ですが、困ったことに『授乳』はこれだけでは終わりません。

 

私は仕事柄、飛行機によく乗るので、飛行機を例にとって説明します。『飛行時間は40分』と言われても、その時間では到着しませんよね。搭乗にかかる時間、滑走路まで行く時間があってようやく離陸、着陸してもまた駐機場まで時間がかかり、結局60分程度はかかります。(羽田空港のような混雑空港はもっと時間がかかる、、。)

授乳も飛行機移動と同じです。(分かりにくい?笑)

 

授乳作業の一連の流れはこんな感じです。

 

1.オムツ替え (5分)

2.おっぱいを柔らかくするマッサージ (5分)

3.授乳 (20分)

4.ゲップを出す (5分)

5.(夜の場合)寝かしつける (5分〜40分)

6. おっぱいケア(保湿等) (5分)

 

以上のように、ざっくり言って、20分の倍の40分かかっているのです。つまり、単純計算で8時間も授乳関連で時間を費やしているのです!

もちろんベテランママなら短くて済むのでしょうが、初心者ママならこれくらいかかるのではないでしょうか。

 

さらに、授乳は身体的な痛みを伴ったり、ちゃんと吸えてるかという心理的な不安なども重なりますので、おっぱいの事で頭がいっぱい!状態になる方もいると思います。

 

旦那からすると、こんなに負担の大きい重要ミッションに手出しできない無力感を感じざるを得ません。(授乳中の妻を眺めるしかない時間は結構孤独です。)

 

これでは『家事休業』ではないか!!と、私はちょっと、拗ねてしまいそうになりました。

 

おっぱいの背後にチチ(父)あり

 

おっぱいが出ないことを恨んでも、仕方ありません。

ここは前向きに取り組んでいけるようにしようではありませんか。

 

家事のうち、おっぱいと密接に関係するのは『食事』です。

授乳は500kcalものエネルギーを消費すると言われています。また、母乳の原料はもちろんママの栄養ですので、食事がとても大切になります。

 

つまり、旦那も、食事を作ることを通じて間接的におっぱいに貢献できるのです。

もちろん、他の家事も、おっぱいにかかりっきりになっている状態の妻を支えることになります。

 

私も正直、『あぁ、なんか育児じゃなくて家事ばっかりやっているな、、』なんて思ってしまうことがあります。ただ、育児は喜びもありますが、つまるところ家事と一緒で日常の繰り返しなんですよね。

 

おっぱいが出ないのは返す返すも残念ですが、ここは見方を変えて、前向きに捉えて、おっぱいの背後には父の貢献もあると誇りたいと思います。奥様も、『家事の方が気楽で良いわよね』、なんて言わず、ここは出来ることの役割分担をしてる、と思って貰えると、男性は救われるかもしれません。

 

おっぱいが出る母親の悲劇

 
おっぱいは難しい

 

男性のごく一般的なイメージとして、『おっぱいは出産したらフツーに出るし、授乳もフツーにできるもの』というのがあると思います。

 

しかし、おっぱいはそう簡単なものではありませんでした。

 

例えば、授乳ですが、ママも赤ちゃんもおっぱい初心者ということもあり、実は最初はうまくいきません。まず、赤ちゃんの吸う技術と、ママの吸わせる技術が未熟という修練が必要な技術的課題。そして、赤ちゃんとママのシンクロ率*2の問題があります。

お腹の中にいたとはいえ別の人格である赤ちゃんとママ。お互いが時間をかけて吸うタイミングや吸い方、ポジション等の呼吸合わせていく時間が一から必要なのです。

 

旦那さんはまかり間違っても、不用意に急いてはいけません。

 

『おっぱいの出る』悲劇

 

我が家で最も深刻な問題となったのは、『母乳が出る』ことでした。

 

ん? と思われる方がいるかと思います。

 

普通、母乳に関する悩みといえば、『出なくて悩む』ことだと思います。

『出るおっぱい』は一般的には、『良いおっぱい』として評価されるお乳だし、最近は『母乳育児』が良いとする風潮もあります。出るのなら、それは幸せなことだろう、というのは普通の反応かもしれません。

 

ですが、『出る』人ならではの悩みがあることを、私は今回初めて知ることになりました。

 

ボーリングおっぱいとの遭遇

 

先ほど、我が家では、期せずして『完母』になり、ミルクに置き換えられないというお話をしました。では、なぜミルクにできないのか、男性にはピンとこないと思います。

 

母乳は、赤ちゃんが欲しがった分だけ生産される受注生産制ではなく、『溜める』ようにできています。

赤ちゃんがおっぱいを刺激することで、母体は母乳を作るホルモンを分泌させて、母乳を生産しますが、この時、刺激の量に応じて必要な量をおっぱいに溜めるのです。

この溜まったおっぱいが、ママにとっての負担になります。

 

おっぱいといえば、柔らかいものだと男性は思っていますが、母乳が溜まったおっぱいは、まるでボーリングの玉のように重く、硬いものに変身します。これをボーリングおっぱいと称したいと思います。

 

このボーリングおっぱいは、痛みを伴います。マシュマロだったモノがボーリングの玉になるのです。そりゃ痛い。ママは夜でも痛みで目が覚めてしまうほどです。放っておくと乳腺炎という怖〜い病気に掛かります。

 

加えて、パンパンに溜められた母乳が溢れ出るのです。そう、ポタポタと。

これも厄介です。授乳用のブラとの間に、溢れる母乳を吸収するパッドを挟みますが、1日に何度も変えなければなりません。下手すると服に滲みます。

 

このボーリングおっぱいのために、ミルクを代替するわけにいかないのです。ミルクにしてしまうと、痛みが治まらないし、下手すると乳腺炎にもなってしまいます。

 

ここはママに少し踏ん張ってもらって、ママと赤ちゃんのシンクロ率が高まって、ある程度コントロールできるようになるまで、あるいはおっぱいがジャスト・イン・タイム型*3の差し乳に『進化』する*4のを待つほかないのです。

 

『出る』のは幸せか、『出ない』のは不幸か。

 

おっぱいは、妻に母親であることを強要しているかのように思うことがあります。

 

お前は母親だ、2時間ごとに母乳をあげないとパンパンに張るぞ、逃げてもダメだ、ポタポタおっぱいは垂れてくるぞ。と。これは結構、残酷なことでもあると思うのです。

 

結果として、私の妻も1日の多くの時間を授乳に費やし、痛みに耐え、また外出しようにも2〜3時間が限界です。私としては、育児休業をせっかく取得しているのだから、半日くらい一人で気分転換してきてほしいのですが、それが叶いません。

 

私は、『順調なおっぱい』は決して問題が無いというわけではなく、辛いことも沢山あると気がつきました。

 

おっぱいの出方自体は人それぞれなんだと思います。悩みも、その人それぞれあるはずです。

 

出るにしても、出ないにしても、『楽な方』は多分無いし、『どちらが良い』というものでも無い気がします。世の中の『流行り』や『普通は』という価値観を持ち出して、母乳の出方で、ママのおっぱいを無責任に評価することは避けたいものです。

 

キャベツに救われるおっぱい

 

さて、ちょっと目線を変えてみます。

昨今の猛暑で葉物の野菜が高くて困りますよね。特にキャベツは倍の値段に迫る勢いです。給付金生活の私には死活問題です。

 

我が家が抱えるおっぱい問題は、実はもう一つあって、妻がもともと皮膚が敏感な上に、授乳によってさらに敏感になり、おっぱいの熱と下着によるかゆみ・痛みがひどくなっています。

 

助産師おすすめ!』的な授乳下着やスロギーのような装着感が自然な下着も試しましたが、どうにもダメです。皮膚科に行っても解決には至りません。

 

そこで、活躍してくれたのが、『キャベツ』先生です。

 

民間療法だろ、と少し小馬鹿にしていたのですが、キャベツをおっぱいに当てると、そっと熱を取ってくれるのです。これが効果てきめんでした。もし、おっぱいの熱や下着のかゆみ等にお困りの方がいれば、ぜひ試してみてください。*5

 

下着メーカーの方、もう少し敏感肌のママ向けの商品開発頑張ってください!キャベツを参考に、ぜひお願いします。うち、買いますので。

 

おっぱいの社会的理解

 

授乳に関しては、ニュースでも公共の場で授乳すべきかどうか、と議論が巻き起こることがある育児の中の行為です。海外でも、国会議員の女性が議会で授乳したというニュースがありましたね。*6

 

こうしたことからも、授乳って、実は育児の中でも理解が進んでいない領域なのではと思うことがあります。オムツ替え台は整備されても、授乳スペースの整備はまだまだですしね。

 

その中でも特に、『出る人の悩み』は、なぜかネットや書籍にもあまり言及がされておらず、社会的にも認識されにくい点では無いかと感じました。

 

例えば、会社に復帰する女性は、母乳をどう処理しているのか、話を聞いたことがありません。おそらく、会社のトイレで搾乳して捨てる等の対応をされているのではないでしょうか。そんなことも知らずに、『あの人、トイレ行きすぎじゃない?』なんて言ってしまい、気がつかないうちにハラスメントの片棒を担いでいる可能性もあるのではないでしょうか。

 

授乳の件だけではないのですが、なぜか妊娠・出産・育児は情報があるようでない、そんな気がしてなりません。先輩ママは沢山いてyahoo知恵袋には夥しい数の相談も掲載されているのに、なぜなんでしょうかね。不思議です。

 

 

とりあえず、今回はこの辺で。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:私の大好きなNHKドラマ『ハゲタカ』では、金のある悲劇とない悲劇と表現している。

*2:エヴァンゲリオンというロボットアニメに登場する概念。ロボットが力を発揮するには、搭乗者との”シンクロ”が必要となる。ちなみに、ロボットは実は人造人間で、搭乗者の近親者の意識みたいなものが植えつけられている。要は親子のシンクロが必要という、なんか育児にも関係しそうな設定である。

*3:いわゆるトヨタ生産方式のこと。トヨタ | トヨタ生産方式 | ジャスト・イン・タイムについて

*4:個人差もあるようですが、溜まり乳でも数ヶ月後に、吸われる分だけその場で生産する差し乳になるらしい。我が家はこれを心待ちにしています。コツとかあるんかな。教えてください、、。

*5:この他にも、豆腐やジャガイモを使うこともあるそうで。

*6:CNN.co.jp : 議員が議場で「歴史的授乳」、規定改正で実現 豪